心的現実における、自分。
中学生時代、自分を岡崎朋也だと思って行動していた。
ある女の子が大好きだった。
椎名もたや、wowakaが好きだ。
自分の名前をとても意識している。
弟とその友達との笑い声で、強く感情が高ぶった。
少女漫画で、恋や、心が繋がる幸せ、好きな物を追う人の強さ、自分を磨く良さを学んだ。
少女漫画の主人公になれたらって思った。
現実の中で生きていない人が好き。
リア充が羨ましくて仕方がない。
同棲してたりとか。
役割を演じる事は、演じる役が好きなら好き。
上手く現実逃避できるかが鍵。
僕は、僕が好きだ。誰よりも○○○○○○○自分が好きだ。好きなものを追求している自分も好きだ。
二次元が好きだ。ボカロとか、アニメのオープニングとかにじさんじとかが好きだ。音楽をひらくと僕と作品だけの世界だ。誰も触れることは出来ない。
僕の心の最深部。
好きなもので身を染めたい。
自分で自分のことを中学生くらいの精神年齢だと思っている。
けものフレンズに命を救われた。
音楽と共に生きてきた。
何故か将棋が強い。
眼鏡より素の自分の方が好き。
水が好き。
最推しは美坂栞。
どうしようもなく無音の世界で。
今、鼓膜を揺らすのは、無呼吸の人工物だ。
今日も否応なく、生きていることを実感させられる。飛び交う騒音の中で、僕は耳を塞いだ。
(生に相応しいのは、この音ではない。生を語るにはもっと、血の通った様な音でなくちゃならないから。)
ふと、前方の座席へ目を移すと、一人の女性と目が合った。とても訝しげな目で、こちらを見ている様に見えた。僕は何だか申し訳なくなって、渋々、スマホに目線を落とした。
(彼女は何を伝えたかったのだろう。もし大声を出したとしても、そのうちの何割かは掻き消されてしまう。無機物に、奪われてしまう。)
また、再生ボタンを押した。録音した人間の、歌唱が胸に響いた。
(あぁ、この人は生きてる。この画面の向こうの人間こそ、生に相応しいのだ。だから、聴いているのだ。)
心地良い音楽に身を委ねると、時間なんてないような気がした。僕は、そのまま曲と同化することを選んだ。
気がつくと、電車は既に乗換駅を通過して、その次の駅に到着していた。
(ああ、また変なミスをしてしまった。)
僕は後悔しつつも、電車を降りた。
イヤホンをつけたまま、駅のホームに立った。
(反対電車を待とう。)
音楽以外無音の世界に、何となく声が聞こえた。その声はあまりにも生に相応しく、そして、あまりにも寂しそうだった。